コラム
歯周病と糖尿病は深い関係性がある
30代以上の8割が歯周病と言われる現代ですが、そんな中で歯周病と糖尿病の関係性についても注目されるようになっており、糖尿病を患う方は歯周病になりやすいということがわかりつつあります。
今回は、歯周病と糖尿病の関係性について解説します。
歯周病と糖尿病の関わり
そもそも、歯周病は細菌感染によって起こる慢性的な炎症です。重症化すると膿が出たり歯が抜けてしまうことはよく知られていますが、最近では糖尿病との深い関わりがあることも知られてきています。
それぞれが与える影響と発症の流れについて
1.歯周病→糖尿病
まず、歯周病が糖尿病に与える影響ですが、歯周病は重症化すると血糖のコントロールが悪くなります。これが、糖尿病に対する悪影響となるのです。そのため、歯周病治療を行えば血糖のコントロールもできるようになるため、良いと言われています。
【発症の流れ】
①炎症性物質が多量に作られる
②炎症性物質が増加することによって、インスリンの働きが抑えられる
③インスリンの抑制によって血糖コントロールが悪化
④③の結果、高血糖状態となる
⑤糖尿病になる
2.糖尿病→歯周病
糖尿病になると、細菌に対する抵抗力や組織の修復力が低下し、歯周病を悪化させることになります。なお、糖尿病になっている人はなっていない人と比較すると歯周病になる確率は2倍以上と言われており、血糖のコントロールがうまくいっていないことから、歯周病がより重症化しやすいと言われています。
【発症の流れ】
①血液が高血糖になる
②唾液の分泌量が減る
③口の中が乾き、白血球の機能が低下する
④歯周病菌が増殖する
⑤歯周病になる
3.肥満からの流れもある
実は、糖尿病から歯周病になる流れにはもう一つあります。それが、肥満状態から糖尿病になり、歯周病治療が必要となるパターンです。
①脂肪細胞からインスリンを邪魔する物質が分泌される
②血糖コントロールが難しくなる
③高血糖になり唾液の分泌量が減る
④口の中が乾き、白血球の機能が低下する
⑤歯周病菌が増殖し、歯周病になる
「第六の合併症」と言われています
糖尿病は、様々な合併症を引き起こすことで有名です。近年では、歯周病も合併症の一つとして認知されるようになってきています。糖尿病の方は、高血糖状態が続くことで歯周病菌による炎症を起こしやすくなり、結果的に歯周病になりやすく治療も難しいと言われています。
ブラッシングを丁寧に
お口の健康は、ブラッシングにつきます。いかに丁寧にできるかで今後が大きく変わるので、今回はブラッシングのポイントをいくつか解説します。
①毛先を確実に当てる
鏡を見ながら、どこに当たっているかを確認しながら磨きましょう。歯と歯の間や奥歯などは重点的に磨くと良いです。
②歯や歯肉を傷つけないこと
あくまでも歯垢を落とすことが目的であり、ゴシゴシと音がするほど磨く必要はありません。「磨いた気持ち」になって終わらないように気をつけましょう。
③1箇所あたり10〜20回
歯垢はネバネバしており、数回ブラシで磨いた程度ではどうしようもありません。細かく10〜20回は磨くようにしましょう。
どちらがスタートだとしても…
今回は、歯周病と糖尿病の関係性について解説しました。どちらが先だとしても、まずは歯周病治療を行うことで、血糖値等を下げることにもつながるため糖尿病のケアが進めやすくなります。まずはお口の中を健康にすることで、全身も健康にしていきましょう。